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強靭なインフラを実現
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従来の方法を改革:
デジタルソリューションを活用して、強靭なインフラを実現

子供たちにとって老後の生活はずっと先の話しですが、身の回りの建築環境には興味を持ってもらう必要があるかもしれません。なぜならば、世界中でインフラが老朽化して、今日の社会のニーズに対応できなくなっているからです。

アメリカでは、水道管の多くが75年以上前に設置されました。イギリスでは、発電容量を接続する送電網の整備が遅れているため、待機中の再生可能エネルギープロジェクト¹ がおよそ1,100件あります。フランスでは、従来の鉄道網では、全国的なモビリティのニーズ²に対応しきれなくなっています。

このように、世界中のインフラに再開発が必要になっています ‐ これには、従来のインフラの改修や新しいプロジェクトが含まれます。いずれにせよ、これには膨大な資金が必要です。最近の調査によると、2030年までの世界のインフラニーズに対して15兆ドルの資金不足が予測されています³。

このように投資の必要性は明らかですが、多くの投資家がインフラプロジェクトのリスクや複雑さに懸念を示しています。問題は、デジタル技術がこれらのプロジェクトのリスクを軽減し、インフラ提供のための財務的根拠を作り出す手助けができるかどうかということです。

プロジェクトの実施は一貫して遅延し、予算を超過している

セクター別の支出および遅延

支出超過(当初の計画と比較した超過率)
40%
80%
120%
160%
輸送回廊
その他
廃棄物・水
石油・ガス
医療
鉄道
空港
電力
港湾
不動産
道路
スケジュール遅延(当初の計画と比較した遅延率)
20%
40%
60%
80%

インフラプロジェクト開発をデジタル時代へ

多数の関係者、多岐にわたるサプライチェーン、専門職の必要性、長期間にわたる投資回収など、インフラプロジェクトの立ち上げには多くの課題が伴います。

「最近の調査によると、政府の交通インフラ予算の50~70%が老朽化インフラの維持または刷新に投じられていると推定されます⁴。投資準備が整ったプロジェクトパイプラインを構築できない場合、民間セクターにおいて、新規プロジェクトへの投資が見送られる可能性があります。」Audrey Goulven(ダッソー・システムズ、サステナブル・インフラ&クリーン・エネルギー・ディレクター)

デジタル技術が違いを生むのでしょうか?かつて世界経済フォーラムは、「世界経済全体の中でデジタル化が最も進んでいないセクター」⁵として、インフラを挙げていますが、進歩を遂げていることは明らかであり、プロジェクトKPIの定義、リスクや機会の特定、リスク緩和策の評価管理プロセスの明確化により、技術がもたらす価値がさらに増えれば、より多くの投資が期待されます。

バーチャルツインは、業界のデジタル化を先導する重要な役割を果たすことができます。「コラボレーションを促進するプラットフォームにより、あらゆるプロジェクトデータを単一の環境に統合して、すべての関係者グループが一貫した目的およびROIの目標を共有して、関係者全員を管理してネットワーク全体を通じて戦略を明確に伝えることができます」Goulven(ダッソー・システムズ)。

これにより、大きな可能性がもたらされます。調査によると、バーチャルツインへの投資1ドルにつき9ドルの投資回収の可能性が示されています。設計コストを最大50%削減して、認証に要する時間を半減できます。⁶

$1
バーチャルツインへの投資1ドルにより
$9
9ドルの投資回収

インフラ開発プロジェクトの立ち上げ

大規模なインフラプロジェクトには、膨大な調整や連携が必要です。「グラン・パリ・エクスプレス」は、パリ地下鉄路線を拡張する、数十億ドル規模の世界最大級の野心的なインフラプロジェクトのひとつであり、約100ヵ所の現場に7,000人以上の作業員が動員されています。

このようなプロジェクトでは、想定外の混乱、工期超過、安全上の問題など、重大なリスクが伴います。バーチャルツインを活用して、シナリオを追跡および複雑なプロジェクトを合理化して、リスクを軽減できます。

「バーチャルツインは、エコシステム全体の概要をプロジェクトマネージャーに提供します。人員と主なデータを結びつけるデジタルマップと同時に、より適切なオペレーションおよびメンテナンスを構築する資産の技術モデルを提供します」とGoulven(ダッソー・システムズ)は述べます。

例えば、IDeCOM(イタリアのエンジニアリング企業)は、3DEXPERIENCE®プラットフォームにより、新設の鉄道駅の開発をサポートしています。「建設開始時、現場の状況は困難を極めていました。そのため、さまざまな設計会社からのデータを統合する統合型モデルを提案しました。「以前は統合時に問題点が生じていましたが、プラットフォームを通じてすべてを問題なく管理しています」Alessandro Pedretti氏(IDeCOM社、シニア・エンジニア)

持続可能なインフラを維持

将来を見据えたサービス提供に伴うもうひとつの課題は、インフラ資産の管理およびメンテナンスですが、バーチャルツインにより、製品やプロセス情報をデジタル化すれば、当初の関係者チームから引継いだ後も、数十年にわたってメンテナンス要員が作業を維持できます。

例えば、パシフィックコンサルタンツ株式会社(日本の建設コンサルタント会社)は、バーチャルツインを使用して社内の専門知識をデジタル化しています。パシフィックコンサルタンツの藤井久矢氏(上席執行役員 大阪本社長)は、「私たちは、自社の熟練したプロフェッショナルの知恵をパシフィックコンサルタンツ内に蓄積し、失われることのないようにしています」と述べています。

また、バーチャルツインは、管理機能の強化もサポートします。「AIをアセットツインに統合して予測保全を行い、騒音や粉塵の拡散などの特定のパラメーターに基づいて仮想的な体験を実行できます。これにより、プロジェクトの全体像に詳細を追加して、オーナーが特定の関係者と的を絞った話し合いを行い、十分な情報に基づいて意思決定を行うことができます」とGoulven(ダッソー・システムズ)は述べます。

バーチャルツインにより、製品やプロセス情報をデジタル化して、メンテナンス要員が数十年にわたって作業を維持できます。

バーチャルツインにより、関係者が複雑なインフラプロジェクトや資産の全体像を把握してプロジェクトのライフサイクルのあらゆる段階で主なデータを確認および共有しながら、リスクや不必要な支出を抑えて、長期的な管理やメンテナンス計画に対応できます。

将来を担うインフラ・イノベーターを育成

デジタルツールは、新規プロジェクトの投資事案を簡素化するのに役立ちますが、先を見越したインフラを実現するには、インダストリアルエンジニアからBIMモデラーに至るまで、まったく新しい世代のスキルセットも必要です。しかし、専門家によると、そのようなスキルセットはまだ確立されていません。「深刻なスキル不足に直面している建設業界では、熟練労働者をプロジェクトに確保することが困難になっています」Frédéric Gal氏(Bouygues Construction社、ビジネス・トランスフォーメーション・ディレクター)。

ダッソー・システムズの3DEXPERIENCE Eduは、人材不足に対処するエンジニアリング教育の変革をサポートします。3DEXPERIENCE Eduにより、教育機関が業界のトレンドや教育面の課題を把握およびスキル・ギャップに対処して、急速に進化する技術環境において、学生がイノベーションに取り組む姿勢を促進して、将来を担うエンジニアの育成をサポートできます。

この連携的な教育アプローチにより、学生が信頼関係を築き、実社会で将来の技術革新を推進するために必要なスキルを確実に習得できます。ダッソー・システムズによるエデュケーション・エクスペリエンスを導入することで、将来にわたって有効なエンジニアリングプログラムを採用して、卒業生の就職活動をサポートするだけでなく、業界で即戦力となる人材を育成できます。

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インフラ&都市のインサイト

強靭なインフラのフレームワークとは、インフラ・システムの障害に対する耐性、適応力、回復力を強化する構造化アプローチです。これには、リスクを評価し、システムの信頼性を向上させ、障害発生中や発生後も機能を継続させるための適応策を取り入れることが含まれます。

強靭なインフラの原則に含まれる項目:

  • 堅牢性:極端な事象に対する耐性を備え、損害を最小限に抑えるインフラを設計および構築。

  • 冗長性:主要なシステムの障害時に機能を確保する、バックアップシステムや代替経路の組み込み。

  • 柔軟性:問題発生時の効率的なリソース管理(迅速な資材の調達および人員の動員を含む)。

  • 適応性:新たな脅威や状況の変化に対応する、インフラの修正および進化。

  • 統合性:さまざまなセクターおよびシステムにわたる調整による、包括的かつ一貫した混乱への対応。

  • 持続可能性:強靭性を維持しながら、長期的な環境・社会・経済面の目標をサポートするインフラを構築。

重要なインフラにおけるレジリエンスとは、システムやネットワークが障害や故障を予測し、それに耐え、適応し、回復する能力を指します。これは、自然災害、サイバー攻撃、システム障害などの問題発生後に、重要なサービスが機能し続け、迅速に通常の運営に戻ることを確実にすることを含みます。

強靭なインフラの例として、洪水に耐える高床式基礎の建物、地震の揺れを吸収するように設計された耐震橋、停電時にもサービスを維持する冗長経路やバックアップシステムを備えた送電網などがあります。これらのインフラは、極端な事象に対する耐性を備え、迅速に回復して、重要なサービスを中断せずに提供できるように設計されています。

SDGs目標9は、レジリエントなインフラの構築、持続可能な産業化の推進、イノベーションの促進に重点を置いています。この目標およびレジリエントなインフラは共に、障害に対する耐性を耐えた適応力のあるインフラを開発して、経済成長および持続可能性をサポートしながら、問題の影響を緩和することを目的としています。